パンクロッカーのために書かれた本ではありません、悪しからず。JamesWattはUKはスコットランドのクラフトビールメイカー、「BrewDog」の共同創業者で、この人たちがいかにパンクな精神と方法論を持ってして会社経営をし、ここまで大きくしたかという話と起業家たるものはこうあれ、というビジネス本の一種です。ここのところのクラフトビールブームもあり、世界のクラフトビールメイカーでも一番大きいところの一つです。とはいえ、岐阜ではまだあまり手に入らないので、頻繁に飲めるわけではないですが、この青いラベルの「PUNK IPA」がもっとも有名でクラフトビールに興味がある人はきっとご存じではないでしょうか。 帯や広告では、人の意見なんか聞くなとか、既存の経営術なんてくそ食らえだとか、もちろんパンクを意識して過激な言葉が並んでいますが、言っていること(表面上の言葉ではなく深層のところではという意味で)とやってきたことはとても堅実なことをやっているなという感想です。広告の手段やパフォーマンスそのものはとても過激で、恐れ知らずなものがありますが、(少なくとも彼らの頭の中では)ある程度の計算が出来ているように感じました。まあ、この手の本は成功した人が書くので、どんなことを言っても実績があるのだから、説得力がある。というか反論したところで妬みやそねみにしかならないわけで・・・経営術として参考にするかどうかは置いといて、パンク好きでビール好きな経営者は読み物としては面白いです。(個人的には「SHOE DOG」より俄然面白かったです。) 作中に突っ込みたいところはいっぱいあるのだけれども、本の最後で「本書でぼくは、人のアドバイスは聞くなと言った。それは、ここに書いたことすべてに無条件で当てはまる。だからあなたがもし本当に賢明な人なら、本書全体を無視すべきだろう。参考にするも、しないも、好きにしてもらっていい。ただし、何か行動は起こしてほしい。それから、とにかく楽しむことを絶対に忘れてはいけない。」で終わるのだが、本書に限らずすべてのことにこれが言えるなと思い、ここで腑に落ちて読了できた。 とりあえず読んだ後は、くせの強いIPAが飲みたくなること請け合いです。